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旅チャイナ(トップ)|チベット青蔵鉄道|チベット入域許可書|カイラス倶楽部| <江蘇省・南京> この街には文化を感じさせる何かがある。街の南、秦淮河のほとりは、明代より全国に知られた歓楽街であった。妓楼酒楼が軒をつらね、洩れ出た管弦の音が川面に流れる。川面のさざ波は揺れながら赤や青の灯燭の光を映す。その上を屋形船が妓女と酔客を乗せ滑るように過ぎてゆく。
この歓楽街に隣接して郷試の試験場である貢院があった。郷試とは科挙の地方選抜試験を言う。各省ごとに行われ、これに受かると北京での会試、さらには殿試へと進む。布団や炊飯道具を持ち込んで、独房のような小部屋に閉じこもる。前後あわせて一週間、必死に答案を練る。南京の貢院は二万室の「独房」を擁していたというから凄い。
秦淮の河に沿って歩くと、歓楽の街と科挙の試験場が並んでいる。奇異に感じる必要はない。名妓も状元も同じなのだ。中国という文化を支えるために費やされたエネルギーの二様の姿なのだろう。 (中日新聞・東京新聞の2002年4月14日日曜版に掲載)
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