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<浙江省・紹興>

 紹興は水の都である。縦横に水路が走る。水路の両側には白壁の民家が建ち並ぶ。水路には石造りのアーチ型の橋がかかっている。橋の上に立つと人々の生活が見渡せる。老婆が水路で青菜を洗っている。おかみさんが七輪で夕餉の支度をしている。子供が小さな卓袱台で宿題をしている。

 それにしても橋が多い。「幾つあります?」。そんなことは知らないだろうと思いつつも案内をしてくれた市の旅游局の人に尋ねてみる。すると、待ってましたとばかりに答えが返ってきた。「一万と六百です」。「エッ」。そんなに多いことがあり得るだろうか、 人口三十万の街に。「間違いありません、キチンと数えていますから」。水の都は橋の都でもあるということか。

 橋の下を小舟が通る。なるほど、それで橋はアーチ型なのか。舟は「足漕ぎ舟」と呼ばれる。船頭は船底に腰を下ろし、足で櫓を漕ぐ。本人は一生懸命なのだろうが、どこかのんびりとした風情が漂う。舟は日除けで覆われ全体が黒く塗られになっている。船頭が被るフェルトの帽子も黒。白い壁、白い橋の間を黒い舟、黒い帽子が行き交う。色彩を押さえた、モノクロの映画のような風景だ。

 紹興は酒精の里でもある。コメが良い。水も良い。七十を超える酒蔵が水路に沿って点在している。コメは糯米。糯米独特のトロッとした丸みのある味わいは、長く寝かすほどにしみ出て来るという。「女児紅」という酒がある。家々で、女の子が生まれると酒をカメに仕込み土中に埋め、その子がお嫁に行くときに掘り出して新郎や縁者に振る舞ったという習慣に由来する。酒は土中で、娘と同じ歳月を赤く熟してゆく。酒精の里にふさわしい酒だ。

 白い壁白い橋、黒い舟黒い帽子、そこに一点紅い酒。水の都・紹興の人々の色彩感覚の妙と言うほかはない。

(中日新聞・東京新聞の2001年12月02日日曜版に掲載)


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