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* 北京・街角の歌ごえ *


<胡同(3)>

 胡同の朝の光は、なんとも、優しい。

 狭い間口の店だが、お客が次から次へとやってくる。油条と呼ばれる細長い揚げパンを買って行く人。油条とお粥を注文し、店の前に並べられた小さな椅子とテーブルで、それを食べて行くお爺ちゃんとお婆ちゃんと孫。
 朝食を外で取るのは昔からの習慣だ。最近は家で食べる人も増えているというが、いろいろな人の話を聞くと、半々というところか。
 でも、朝食は胡同に限る。
 目覚めたばかりの空気も鮮烈だ。それに、なんといっても、胡同の朝の光は優しい。油条を揚げる店員の肩にも、お粥を食べるお客の背にも、通りがかりの野菜を積んだ荷車にも朝の光が降りかかる。惜しげもなく。鍋から上がる煙にも光が当たる。逆光の中で、人も煙も荷車も、シルエットのように浮かび上がっている。


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