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* 北京・街角の歌ごえ *


<普請中(5)>

 夕暮れどきに、壊された家の前を通ると、ほとんど崩れかかったなか、壁にポツンと一枚の写真だけが残っていたりする。洋風のメルヘンティックな写真だ。男の子と女の子がほのかな接吻をしている。空には不自然に大きな三日月がかかっている。今のはやりだ。街の文房具やみたいのところならどこでも売っている。
 ありきたりの写真だから、逆に、気に掛かる。
 居間だったのかしら? それとも子供の部屋? どうでもいいけど……。ただ、その生々しさには驚かされる。変に感動させられる、と言ってもよい。家族が家の中で暮らす生々しさと、その家々がガンガン壊されていく生々しさ。人々が肩を寄せ合いチマチマと生きることの切なさと、破壊し尽くすことの爽快さ。

 驚きでも感動でも、どちらでもいい。でも、それにしても何なのだろう。崩れた家の壁に残された写真をみて抱く想いは。時は確実に破壊に向かって流れて行く。いくら造ってもいつかは壊される。そういう無常観か。壊されても人が暮らした温もりが傷痕として残る。そういうセンチメンタリズムか。


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