前にも書いた。北京には老人が多い。多いだけではない。元気だ。鳥籠を両手に下げた老人。木陰で仲間同士楽しげに語り合う老人。什刹海で草魚を狙いじっとウキを見つめる老人。……。特に、公園に行けばそうだ。公園のなかでも、天壇公園。「あれっ、ここは年寄り専門の公園？」、と思うほどここには老人が多い。そして、誰もが生き生きとしている。公園のあちこちに４、５人から７，８人の輪が出来ている。仲間が集まってワイワイやっている。京劇の練習だったり、トランプだったり、将棋だったり……。
　こう言ったらいいだろうか。トランプをしたくなるとここに来る。すると、同じようにトランプをしたい老人が来ている。彼らは、一日、そこでトランプに打ち興ずる。新しい仲間も増える。翌日も、また……。そういうグループが、何十何百と出来ている。天壇公園というのは、そういう自然発生的な集まりの「場」なのだ。