歩道橋に限らない。道端でいろいろなものが売られている。靴、果物、ズボン、海賊版CD、お茶、骨董……。とにかく何でも。ズタ袋から取り出して道に並べて売っている。そして、また、不思議なのは人がよくそれを買うこと。ズボンとか家具とか、普通こんなふうに買うかな、と思うのだが、これが本当に買うんだよね、道を歩きながら。 　先日、「あっ、こんなものも道で売られている」と妙に感心したのは、西洋人形。金髪で青い眼でフリルのついた長いスカートをはいて……。ついこの前じゃないか。一切のブルジョア的なものは頽廃であり腐敗であり葬り去られるべきものである、と国中で宣伝をしていたのは。
「いくら？」
「８０元」（一元は約１６円）
「……」
「６０元にしよう」
「……」
「よし、５０元」
　誰も安くしろなんて言ってないのに……。可哀想に。可哀想なのは売り子ではなくてお人形さん。値切られていくと、お人形さんが気の毒な気に思えてくる。ただでさえ、こんな寒風の中に立たされて。薄手の洒落たブラウスが寒々しい。